成りたろう 本 映画 切手 を語る: ■いやなガキ時代 インターネット集客 株式会社レゾンデートル

2012年10月30日火曜日

■いやなガキ時代 インターネット集客 株式会社レゾンデートル

ものごころつくと、本が好きだった。

父系や妹にその気はなく。母系の伯父に少しその気があった。

家族の影響というより、幼少の頃から、日本地図パズルや「わたしたちの観察(小学低学年向けの科学雑誌・絶版)」などを与えられ、よく云うと、そこそこ賢く。悪く云うと、それが仇となり、大人からみると、小賢しい憎らしい小僧だったように思う。

家業は廃品回収のダンボールや新聞紙・雑誌・本を1m四方の正方形の塊にプレスして、十条製紙に卸す仕事をしていた。

アカ(銅)や鉄、アルミ、なども改修して再生する業者に卸していた。

40年ほど前の話、今考えると先端のエコな事業で、一時期は儲かっていたようだ。結果として長く続かなかったが。

小学校の高学年の頃は、放課後や夏、冬の休みによく手伝いをしていた。

参考書や小説は、買った記憶がない。超巨大な山となって、そこにあった。宝の山だ。それが目当てだった。

小学校の図書館で、世界児童全集や江戸川乱歩ものは全て、密かに読破していたが、圧倒的に山で自分で勝手に読んだ本の量が多い。

歳相応でないものが好きだった。

背伸びしていたわけではないし、将来、物書きに・・・など全く思っていない。土台、私が本を好きなことを知る人間や、読んだ本について、感想を語る人間は周辺には皆無だったから。

何故、と云われても困るのだが、10歳の頃の私は、谷崎潤一郎と北原白秋のファンで、殆ど読破していた。

もちろん、本質的な意味合いを理解したり、味わったりしていたわけではない。

やはり、一通りの児童向けの全集などなぞり、若干、物足りなさから背伸びし、一人、悦にいっていたのだろう。小賢しい・・・。

この小賢しさを証明する話は本人よりも、周辺の幼馴染がよく記憶していて、後年、逆に笑話し、昔話しとして聞かされた。本人より周辺の記憶の方が確かなところが人間の面白いところだ。

その中から、小賢しいお話を5つ。

■小学1年:教科書丸暗記事件 1学期で既に、国語の教科書をほとんど丸暗記していたらしい。「(犬の)しろ、しろ、みずたまりにうつるじぶんのかおをのぞきこんで、ぬれてしまうよ」などとそらんじて悦にいっていたらしい。生意気だ。

■小学1年: 「ちびくろサンボ」 最後は恐ろしいトラが木の周りをグルグル回って、バターになってしまうと云うほのぼのした幕切れ。皆が感動しているところに、「先生、気持ちは判ります。でも、物理的にトラはバターにはなりません」と言い放ち、皆も、「そーだ、そーだ、ブツリテキに嘘だ!」と目覚めさせ、担任の和田先生を辟易させる。憎らしい。

■小学2年:「かたあしダチョウのエルザ」 仲間を守るため、エルザはサバンナの大きな木になりました。・・・「物理的に・・・」と云いかけて担任の足立先生に1年の事件からか、「煩い!」と釘を刺される。尤もだ。

■小学3年:夏休みの自由研究で、「細雪」を全文、二百字詰め原稿用紙に写経(?)し、提出。 物議をかもす。卍や鍵、刺青でなくて、よかったと云うべきだ。何故なら、それらも好きでどれを題材にするか迷ったが、”長い”と云う理由で、細雪に。小賢しさが少し功を奏した。

そんなこんなで片腹痛く、小賢しく、成長し。中学生に。

■中学1年:授業参観にて。好きな詩を暗記し、そらで披露することが課題とされた。
迷わず、白秋を選んだ。しかも、既にそらんじていた。そのあまりの長さ、そして、大阪人の中でも早口でまくしたてた後、教室内がシーンと。母親が困ったような顔で突っ立っていた。

ご存知のように、この小賢しさ、片腹痛さ、は、おっさんの今も変っていない。困ったものだ。

白秋に敬意を表して。愛する件の詩をここに。


 ◆落葉松


からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。


からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。


からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。


からまつの林の道は、
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。


からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。


からまつの林を出でて、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。


からまつの林の雨は
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。


世の中よ、あはれなりけり。
常なれどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。

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