「Cの福音」 楡周平 宝島社文庫 を読んだ。
大手企業の社員が上梓した本が、いきなりベストセラーになった。
しかも・・・?! 宝島社という小説界ではメイン通りではない出版社から。
また、ミステリーとスリラーを足して2でわったような味わいをもつ、ハードボイルドは、読みやすく、面白い。
主人公が決して善人でいい奴でないのもいい。
だから、だろうか。
この作家はいまもって無冠である。
売れているから、よい、とはいわない。
しかし、売れるか否かは、作家として、読み物として、重要な評価指標であるはずだ。
読者が評価しているわけで。
せめて、読み手側の目線である、本屋大賞もとってもおかしくないと思う。
好みの問題もあろうが、賞レースは摩訶不思議なものに思える。
主人公は知性があり、体力もある。
なにより、それらのものを得て、維持するために、努力を惜しまない。
正義のヒーローになってもおかしくない人生を送っていた。
しかし、彼の人生は暗転してしまう。
経済的にはどん底ではないが、少なくとも人生を楽しみ、歓びいきてゆく道はたたれてしまう。
自身でも気づかなかった、心の奥底に、身体の芯の奥深くに眠っていた、真の資質にきづいてゆく。
それは黒く、重く、反骨心に満ち、そして・・・。
ハードボイルドは痛快なだけで、品格が低いとみられがちだ。
そして、この小説でも、そんな阿保な、そんなにうまくゆくはずがない、と思う読者もいるかもしれない。わかっていて楽しむもよし。
しかし、ビジネスマンの端くれである私 には、ひとつひとつが、荒唐無稽なではではなく、しっかりとしたロジックと理屈、理由に支えられていて、現代社会でもかような裏の仕組みが存在していてもおかしくないとさえ思いながら読んでしまった。
その時点で、この小説は、私にとっては、ハードボイルドではなく、ビジネス書の色合いを帯びてくる。
結果論ではなく、現在の作者は、ハードボイルドの域をでて、経済小説の分野にシフトしている。
既に、デビュー当初から本質的には、こちらの世界を意識してプロットを考えていたのかもしれない。
ブックオフで作者の作品はみつけることができる。
是非手にとってのぞいてみてほしい。
新しい世界が開けるかもしれない。
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