成りたろう 本 映画 切手 を語る: ソロモンの犬 道尾秀介 文春文庫

2014年9月14日日曜日

ソロモンの犬 道尾秀介 文春文庫




 ソロモンの犬 道尾秀介 文春文庫


若きベストセラー作家の本。
初めて手にとった。

ストーリーテラーではない。が、コンテンツが充実している。
ミステリーの体裁であるが、中身は玉手箱のごとく。

推理だけではなく、青春、友情、家族、科学、宗教、滑稽、愚か、ドンデン返し、など。
そのドンデン返しも、一度ではなく。
とにかく、一冊で三度も四度も美味しい。

それを、「是」とするなら、素晴らしいが、個人的には、ブレに思え、読後感に、爽快さや切なさや重さのような、統一された何かが捉えられなかった。

あくまで私見だが、主軸の柱は一本がいい。
何本もいらない。

では、この本が面白くないか? と云うと、全くそういうことはなく、非常に面白い。
作家の才能や、ともすれば、詰め込み過ぎの咎を、そう感じさせず、うまく、リズム感よく、まとめている技量も確かで、驚きすら感じる。


感動した! 素晴らしい! もう一回読みたい!!

と云うものではないが、十分に読み応えのある「作品」である。

自分の好み、読書感が確立されておらず、楽しみみたい、と思う方にはたまらない仕上がりになっていると思う。


もう一冊くらい、この作家の本を読んでみてもいいな、と思う。




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