「夢幻花」 東野圭吾 PHP文芸文庫を読んだ。
第26回柴田錬三郎賞受賞の近作。
安定した面白さを保持しており、安心して読める。
分野、アイデアも斬新であり、知的好奇心もくすぐってくれる。
しかし、出世時の作品群の格調の高さ、驚き、斬新さをしる者にとっては、その高みとの比較から物足りなさを感じるかもしれない。
自殺と殺人、そして、過去の殺人事件が1本の線としてつながってゆく、その推理小説としての道筋は見事なもの。
被害者にとっては残念な事件、事故であるが、残った者(主役たち)にとって生きる希望を見つけることができ、読後の爽快感もみミステリ、推理小説であるにも拘らず、独特な感動をもたらす。
悲惨、悲壮の中に希望の光をともす、この作家の魅力は健在である。
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