成りたろう 本 映画 切手 を語る: 8月 2018

2018年8月27日月曜日

【本の世界】 安定した実力派  東野圭吾 「夢幻花」



「夢幻花」 東野圭吾 PHP文芸文庫を読んだ。


26回柴田錬三郎賞受賞の近作。

安定した面白さを保持しており、安心して読める。
分野、アイデアも斬新であり、知的好奇心もくすぐってくれる。

しかし、出世時の作品群の格調の高さ、驚き、斬新さをしる者にとっては、その高みとの比較から物足りなさを感じるかもしれない。

自殺と殺人、そして、過去の殺人事件が1本の線としてつながってゆく、その推理小説としての道筋は見事なもの。

被害者にとっては残念な事件、事故であるが、残った者(主役たち)にとって生きる希望を見つけることができ、読後の爽快感もみミステリ、推理小説であるにも拘らず、独特な感動をもたらす。

悲惨、悲壮の中に希望の光をともす、この作家の魅力は健在である。

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2018年8月19日日曜日

【本の世界】 どこから、この構想が生まれるのか・・・  湊かなえ 「告白」


「告白」 湊かなえ 双葉文庫を読んだ。


映画もヒットした湊かなえの出世作。第6回本屋大賞受賞。

ミステリー作家としてヒット作を生み続けている。
初めて氏の作品を読んだ。

ネタバレであるが、映画のCMなどである程度の粗筋は知られているものだろう。

事故として警察に処理された殺人事件の犯人を被害者の母親が私的に追い詰めて行き復讐を簡潔させるお話。

この被害者の母が教師で、犯人が生徒という舞台設定そのものからセンセーショナレルな話題をよんだ。

そのアイデア、構想にはミステリーとしてのエッセンスがつまり最後まで楽しめた。
しかし、例えば、宮部みゆきのもつような深み、滋味や、東野圭吾のもつスケール、叙事詩的な景観をもたない。

極めて特異な存在だと思う。

ワイルドな経歴をもつ、活発な主婦作家としても働くママさんの代表として、作家よりむしろ女性ビジネスマンの理想としてとらえるべきなのかもしれない。

また、ブックオフの100円棚で別の作品をみつけたらストックとして買ってみようと思う。

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2018年8月14日火曜日

【本の世界】 心の底から怖い・・・  五十嵐貴久 「リカ」



「リカ」 五十嵐貴久 幻冬舎文庫を読んだ。


五十嵐貴久はサラリーマンから小説家になったサクセスストーリーの体現者。
推理小説、ミステリー作家として人気を博する第一人者。

自分でも意外だが読んだことがなかったのです。

で、本箱(本棚ではないです。箱に読みたい小説や新書をほり込んでおります)に眠っていた本書を何となく読んでみました。

すご~く、怖いです。
かなり面白い(=怖い)です。
マジで怖いです。

細かいことにそんな阿保なと言ってはいけません。
日本人の普通の男性なら、誰でも同じ目にあう可能性を十分に秘めていると思うのです。

エプローグは文庫版に際し、追記されたらしいです。
ファンの方からは賛否ありましょうが、個人的には怖さが最後に倍増して、益々背中が冷えました。

その怖さを味わってください。

仕事や生活に疲れた中で逆にいい刺激になる力をもっています。

調べてみると、十年以上の時を経て、続編が2作も出ています。

めちゃくちゃ読みたいです。

第2回ホラーサスペンス大賞受賞作。
氏の2作目にして出世作。

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