成りたろう 本 映画 切手 を語る: 【本の世界】小説らしい小説 「 もしもし下北沢 」 よしもとばなな

2015年1月4日日曜日

【本の世界】小説らしい小説 「 もしもし下北沢 」 よしもとばなな

よしもとばなな  「もしもし下北沢」  幻冬舎文庫を読んだ。
 

松川の同じ歳で、文学界の巨匠が二人いる。

 一人は、江國かおり、ひとりは、よしもとばなな。

 特に、ばななは、デビューが早く、幸運に恵まれ、父親のネームバリュー・・・があり、読んだことはなくとも、名前は知っている。かような人も多きのではないだろうか。

 これが、ともすれば、七光りでしょ?的な先入観につながることも。 しかし、一度読めば、そんなものは一切関係ないことが、すぐに判る。

更に、質をあげ、維持し続けることが、プロの証。 長く、これに、十分に応えつづけている。

本作は、毎日新聞の連載小説である。 新聞小説にありがちな冗長さを指摘されたらしいが、そうだろうか?

 感じない。

冗長ではなく、丁寧なのだ。

 実父の不倫無理心中による、「死」と云う一見、スリリングなつかみから物語は始まる。 そして、残された、妻(母)と娘の再生の物語として進む。

 つかみに反して、その展開は、平々凡々な生活のお話。

日々の心の機微、揺れ、前進と後退・・・これが冗長にみえるのかもしれないが、それこそが、普通の人間で、どこにでもいる人間で、読者個々人の中にある人間であって。 だからこそ、盛り上がりに欠けるものの、親近感、納得感を得ることができるのではないだろうか。

 ストーリーテラー、トリックの妙、も小説の魅力、醍醐味である。 が、やはり、本質は、人間(主人公)を“描く”こと、だと思うし、異論はないだろう。 であれば、本作は、数多の小説の中の小説らしい、小説、と云うべきもの。

 惜しむらくは、あくまで私見ながら。 最後の夜の展開は不要だったかなと思う。

ちなみに、氏の多くを読んでいるが、現時点、個人的に好きな、氏の・・・と云うより、読んだ全ての小説の中で、ベスト10に推したい一冊がある。

それは、「 TUGUMI (つぐみ) 」。




 映画も粗はあるものの、その雰囲気は十分に及第で、心が温かくなる傑作。

お勧めしたい。

 今年も始まります。 年末年始、仕事もせずにゆっくりさせて頂きました。

 不思議なもので、時間があると、読書のスピードも遅い。 焦ったり、急いだりする必要はないだろう。が、切り替えて、キビキビと参ります。



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