成りたろう 本 映画 切手 を語る: 1月 2015

2015年1月13日火曜日

【本の世界】宮尾登美子の世界




巨星、堕つ。


宮尾登美子 平成261230日 逝去


高知の遊郭で芸妓紹介業を営む岸田猛吾の子として生まれる。
この遊廓のことは『櫂』に描かれている。
12歳で父母が離婚し父に引き取られる。1943年に高坂高等女学校を卒業し、吾川郡池川町(現仁淀川町)の安居国民学校の代用教員となる。1944年、同僚の前田薫と結婚。心臓神経症を発症し、長く悩まされる。

1944年満蒙開拓団の一員として家族で満洲に渡る。長女を出産するが、敗戦のため辛酸をなめ、1946年高知へ引き揚げ。この満洲体験は『朱夏』に描かれる。1947年肺結核で病臥する中、『小説新潮』などを読む。1948年初めての小説「村芝居」を『文藝首都』に投稿。1949年に母、1951年に父を失う。1951年から1958年まで村立保育所の保母として勤務。1958年高知県社会福祉協議会に保育係として勤務。1962年、神戸で取材して書いたラジオドラマ「真珠の家」がNHK高知放送局のラジオドラマ脚本募集で佳作一席となり、仕事を辞め文筆生活に入る。

1962年前田とみ子の名で書いた『連』で婦人公論女流新人賞を受賞、1963年同作で直木賞候補となる。

協議離婚。1964年「湿地帯」を『高知新聞』に連載(前田とみ子名義)。高知新聞社学芸部記者・宮尾雅夫と再婚。1966年夫とともに上京。婦人誌、女性誌のライターをし、赤ちゃんとママ社に就職。1968年第一生命住宅に転じる。

1972年、それまで劣等感を感じていた生家のことを書く決心をし、『櫂』を自費出版、1973年同作で太宰治賞を受賞し、出世作となる。1977年『陽暉楼』で直木賞候補。『寒椿』で女流文学賞受賞。

1979年『一絃の琴』で直木賞を受賞、53歳であった。
1983年『序の舞』で吉川英治文学賞受賞[1]

作品のテーマは一貫して女性であり、自伝ものから出発して、さまざまな分野に新境地を開いている。

『東福門院和子の涙』など、歴史の中で弄ばれるはかない女性を描いた歴史小説が有名。一方で、『クレオパトラ』では、悪女や悲劇のヒロインとしてつくりあげられてきたこれまでのクレオパトラ像を否定して、新たな解釈で浮かび上がらせている。また一方で歴史的事実からは逸脱した解釈による創作も見られる[要出典]

2005年の大河ドラマ『義経』は、『宮尾本 平家物語』と『義経』が原作。2008年には『天璋院篤姫』が大河ドラマ化されたほか、2009年から放送の『坂の上の雲』には外部諮問委員として参加している。

(WikiPedia より)

宮尾登美子と、山崎豊子の初期の頃は、日本の古き良き時代の「女」の世界である。

双方、苦労・辛酸が描かれ、決して、“良き”などと言葉がはまるとは思えないでしょう。

そうなのです。
しかし、最後まで読むと、とても、爽快な気分になるのです。

何故なら、そこには、我々日本人の遺伝子ともいうべき、“清く 正しく 美しく”が満載だからです。

そして、その正義は、ささやかでも、最後は、勝つのです。


多くの宮尾作品の中で、個人的に、勇気をもらい、心をとらえた作品を敢えてあげるとすれば、以下の2つ。

『きのね-柝の音』朝日新聞社 1990 - のち文庫、新潮文庫
・・・歌舞伎の世界で脇役、底辺の地位から、主役まで、地道な愛で這い上がる、女一代記。

『藏』毎日新聞社 1993 - のち中公文庫 1995/角川文庫
・・・盲目のハンデをものともしない。我がまま娘が周辺を巻き込んで、皆を幸せにする、どこまでも幸福なお話。

知る限り唯一の日本人以外の女性を描いた「クレオパトラ」は機会があれば、読んでみたい。


人は亡くなっても、その、偉大な作品は、後世まで我々を楽しませ、勇気をくれる。


合掌。


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2015年1月4日日曜日

【本の世界】小説らしい小説 「 もしもし下北沢 」 よしもとばなな

よしもとばなな  「もしもし下北沢」  幻冬舎文庫を読んだ。
 

松川の同じ歳で、文学界の巨匠が二人いる。

 一人は、江國かおり、ひとりは、よしもとばなな。

 特に、ばななは、デビューが早く、幸運に恵まれ、父親のネームバリュー・・・があり、読んだことはなくとも、名前は知っている。かような人も多きのではないだろうか。

 これが、ともすれば、七光りでしょ?的な先入観につながることも。 しかし、一度読めば、そんなものは一切関係ないことが、すぐに判る。

更に、質をあげ、維持し続けることが、プロの証。 長く、これに、十分に応えつづけている。

本作は、毎日新聞の連載小説である。 新聞小説にありがちな冗長さを指摘されたらしいが、そうだろうか?

 感じない。

冗長ではなく、丁寧なのだ。

 実父の不倫無理心中による、「死」と云う一見、スリリングなつかみから物語は始まる。 そして、残された、妻(母)と娘の再生の物語として進む。

 つかみに反して、その展開は、平々凡々な生活のお話。

日々の心の機微、揺れ、前進と後退・・・これが冗長にみえるのかもしれないが、それこそが、普通の人間で、どこにでもいる人間で、読者個々人の中にある人間であって。 だからこそ、盛り上がりに欠けるものの、親近感、納得感を得ることができるのではないだろうか。

 ストーリーテラー、トリックの妙、も小説の魅力、醍醐味である。 が、やはり、本質は、人間(主人公)を“描く”こと、だと思うし、異論はないだろう。 であれば、本作は、数多の小説の中の小説らしい、小説、と云うべきもの。

 惜しむらくは、あくまで私見ながら。 最後の夜の展開は不要だったかなと思う。

ちなみに、氏の多くを読んでいるが、現時点、個人的に好きな、氏の・・・と云うより、読んだ全ての小説の中で、ベスト10に推したい一冊がある。

それは、「 TUGUMI (つぐみ) 」。




 映画も粗はあるものの、その雰囲気は十分に及第で、心が温かくなる傑作。

お勧めしたい。

 今年も始まります。 年末年始、仕事もせずにゆっくりさせて頂きました。

 不思議なもので、時間があると、読書のスピードも遅い。 焦ったり、急いだりする必要はないだろう。が、切り替えて、キビキビと参ります。



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