成りたろう 本 映画 切手 を語る: 2月 2013

2013年2月1日金曜日

修行が足りない・・・ abさんご

去年とは、また違った注目の的を射とめ、主催者側は笑いが止まらないことだろう。

黒田夏子さんの、「abさんご」を、本屋で山積みの文芸本、¥1,200.-で買い。ワイドショーのご指示通り、裏表紙から、横書きのそれを読んでみた。



まず、並梱された、若い頃の短編、3つのお話から。

非常に面白かった。

私見、かつ、私独特の感じ方かもしれないことをお断りして。

初めて、小川洋子の文章にふれたときの、男性に対する疎外感や、初めて河野多恵子を理解したときの、 圧倒的に完成された世界観、そう、女性的な陰な、意地悪な、それでいて、あっけらかんとした。

別の云い方だと、向田邦子の短編、「かわうそ」に出てくる女のような、狡猾な・・・。

とにかく、完成度が高く、楽しめた。

そのまま進めば、私ごときの申し上げることではないが、’70年代には、同賞を受賞していたのでは、と素直に思える高い文章力が、よく感じとれた。

いわゆる、面白かった。


ところが、

これに全く満足できず。

彼女には、50年という歳月が必要だったのだと云う。


今回は、審査員の激賞のもと、満場一致で即、決まったそうな。


バックボーン、横書き、「。」なし、冗長な言い回し、漢・かなの勝手な使い分け、などなど。

ゲージツ、ドクソーテキ、モンダイサク、なのかもしれない。

その上で、多少無理をして、読み進めると、世界に入ってゆける、やはり、確かな、高度な筆致。


でも、ですよ。

このために、50年は必要だったのでしょうか?


おそらくは、とっとと受賞して、文壇に出て、ファンに対し、確かな作品を届けるように、神はこの方に才能を与えたのに、回り道をする必要があったのでしょうか?


その答えがこれ? なのでしょうか?


そう。

感受性、芸術性、理解力、知力、人間性、その他、私の修行が足りないので理解が及ばないだけなのでしょう。

そうとしか思えない。


考えてもしょうがない。

 1年寝かせて、また、来年、読んでみよう。おかしな受賞者がテレビを賑わす頃を合図に・・・。