成りたろう 本 映画 切手 を語る: 9月 2018

2018年9月16日日曜日

【本の世界】 真摯に生きるちょっとかわった友情のお話  三浦しをん 「まほろ駅前多田便利軒」



「まほろ駅前多田便利軒」 三浦しをん 文藝春秋を読んだ。


三浦しをんの2006年、第135回 直木賞受賞作。
20才台女性の受賞はきわめて珍しい。

映画もそこそこヒットし、ここで準主役をした松田龍平が、後に映画で大ヒットする「舟を編む」にも主演している。

どちらもちょっとかわった仕事に懸命にとりくむ姿が描かれ、そこはかとない感動をよぶ。

わけありっぽいまほろ市(モデルは完全に町田市)駅前の雑居ビルに居と便利屋事務所をかまえる主人公と中学時代の知り合い(決して友達ではない)の奇妙な同居生活が舞台。

二人とも過去に傷や嫉みを持つが前向きに生きようともがく。
そして、忘れられればよいが、忘れられないコトに対して答えを探し続けている。

女性作家であるが男性の主人公の気持ち、心のひだをよく描けていると感心するが、これは、男性ではなく人間に共通するものなのだなと気づく。

底に流れる逃げることのできない重いテーマを軽妙なユーモアと少しホロリとする温かさで包みながら物語は進行する。

そして突然訪れる崩壊・・・。
しかし、読者の期待通り、それは逆転の希望につながってゆく。

個人的に長く本棚(読みたい本が常時20-50冊程度積まれている)にあったものを、思うところあって読んでみた。

期待通りの温かさと切なさにつつまれ、続編も是非読んでみたいと思う。

ちょっと疲れたときに元気をくれる一冊だと思います。
表紙のイラストも読後に、なるほどとうなずける素晴らしいトーンをもつ。

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2018年9月1日土曜日

【本の世界】 下町出身の日本文壇のエース  宮部みゆき 「ステップファーザーステップ」



「ステップファーザーステップ」 宮部みゆき 講談社文庫を読んだ。


『火車』(山本周五郎賞受賞)『理由』(直木賞受賞)はじめ、ヒット作、名作多数。
社会物、ミステリー、時代物と多様なジャンルをかき分ける、怪物作家。

日本の文壇の床の間をしょって立つといっても過言ではないと思う。

ネタバレだが、Amazonの内容紹介から引用すると。
中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。
まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。
次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。
宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!

氏にしてはライトな内容、かつ、多少設定に無理があるものの、最後はしっかりとホロリとさせるところは流石。

疲れていても、楽しみながら読める娯楽小説としてお勧めです。

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