成りたろう 本 映画 切手 を語る: 5月 2018

2018年5月21日月曜日

【本の世界】自分の青春にもかさなる 「 一瞬の夏(上・下) 」 沢木耕太郎


「一瞬の夏」 沢木耕太郎 新潮文庫 を読んだ。
30年以上ぶりの再読。



当時、私は大学生だった。

大阪から上京し、大学というより東京そのものを満喫しており、バイト、サークル(スポーツ何でもの100人超の大所帯)、バンド活動にどっぷりつかっていた。

そのくせに、小説家といわず、何らか文字に関わる仕事がしたかった。
結果、就職活動では、共同通信も時事通信も全くひっかからず終わったが。

既に活字離れがささやかれていた時代において、小説は読んでいる方だと自負していた(量より質という話もあるが)。

よって、ルポライターという仕事自体、どういうものだ? という興味もあり、また、ボクシングも大好きだった。手にとるのは必然だったように思う。

今、再読すると、旧くなった表紙に時間を感じ、また、内容に時間を感じ。
あの頃を思い出す・

ユーミンやサザンの客を聴くと、その曲が発売された当時を思い出すのに似ている。


この本によって、ボクシングファンのみならず、世間にその名を知られることになった、元東洋チャンピョン、カシアス内藤。既に名伯楽として名をはせていたエディ・タウンゼント。そして、「私」こと沢木耕太郎が主役の“私ノンフョクション”である。

後に第一回新田次郎賞を受賞する、本作は、新しい活字の世界の先駆けになっただけではなく、屈折した青春とささやかな希望を見出せる人間の可能性を多くの、特に男性に影響をあたえたものと思う。

周辺が無謀と思っても、自分でもこれでいいのか? と自問しながらも進まねばならない。
引き込まれてしまう事や時間が人間にはあり。

たとえ、残念な結果に終わったとして、のちに、思い返したときに。
逃げるより、踏みとどまるより、進んだ方がよかった、と思えるのではないだろうか。

華麗で派手なものごとだけが、その対象ではない。
ビジネスも一緒だ。

不肖、私の場合、それは、この6年間。客様のマーケティングのお手伝いをしている今がそのときかもしれない。
独立してからの時間なのかもしれない。

精魂かけて突き進むとき、それは若者だけではなく、幾つになっても大事なものだと思う。

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2018年5月14日月曜日

【本の世界】誤算と宥和であやまった歴史 「 戦争の世界史 」 A.L.サッチャー

【本の世界】誤算と宥和であやまった歴史 「 戦争の世界史 」 A.L.サッチャー

「戦争の世界史」 A.L.サッチャー 大谷堅志郎訳 祥伝社黄金文庫 を読んだ。



枕詞に、“燃え続けた20世紀”

副題に、“それは大英帝国の凋落から始まった”とある。


裏表紙に、1941628日、サラエボに轟いた銃声が、半世紀以上も続く悪夢のような連鎖反応を引き起こした・・・。20世紀総括がせまられる今(本書は2000年発売)、近現代史の大家が「われらが時代の軌跡」を生き生きと描く。待望の文庫化第1弾!”とある。

教科書に載っていない、各国の首脳の人柄、性格、名誉、本音、など個人の所作、判断、が重要な位置にいればいるほど、重要な局面におかれるほど、重大な影響をもつ。

第一次世界大戦では、敗戦国はもちろん、戦勝国においても、「戦争はまっぴらだ」「多少損をしても、平和でいたい」という空気が蔓延していた(二次)大戦前夜。

その空気が悪い方へ悪い方へ転がってゆく。

当事国を危機におとしいれたことは、もちろん。
エチオピア、ポーランド、オーストリア、ユエコスロバキア、ベルギー、オランダ、北欧諸国にとって、とばっちりにも似た、悲劇をもたらす。

人間としての、スターリン、ムッソリーニ、そして、ヒトラーが史実で語られている以上に恐ろしく、そして、空前の人でなしであったのか。

お人よしで理想家のウィルソンの苦悩。
優秀なのだろうが平和ボケし、宥和を望みすぎた、ダラディエ、チェンバレン。

逆に、平和な時代であれば、トップにならなかったであろう、チャーチル。

表舞台にもでず一軍人で終わったであろう、ド・ゴール。

時代は、スターリンやヒトラーという怪物の前に、この二人の異能を求めたのである。
できれば、彼らが能力、才能を発揮する必要がない時代が、平和なのだが、強く強く必要とした。

それも、最終局面で民主主義世界がファシズムに敗北する瀬戸際において。

奇しくも、ファシズム以上に警戒し、そして、敵視していた、コミュニズムとの連携をせざるをえないほど、ファシズムは強大なものになっていたのである。

スターリンにとって、ヒトラーが独ソ不可侵条約をやぶって進撃してきたことは、ある意味、民主主義世界との距離を縮め、ソ連の土台を築くことができた。敵の敵は味方。怪我の功名というべきか、歴史において、大きな意味をもつ。

戦勝側にまんまと座ったソ連は強大になり、大戦後の冷戦の元になったのである。


対岸の火事、個人主義、孤独主義を貫いていたアメリカの議会、世論をルーズベルトがいかにして動かしたのか。
もし、動かせなかったらどうなってしまったのか。

これも、パールハーバーがおこったことで(本書ではなく別情報だがアメリカは日本の動きを察知していたが世論を参戦容認に導くため黙認したとされる)、怪我の功名か、一気に当事者として参戦してゆく。

これは崖っぷちのチャーチル、イギリスにとって最後のギリギリの僥倖であり。

崖から落ちていた、腐ったフランスにとって、回復への一本の光になったのである。

もし、ド・ゴールが強い気持ちでレジスタンスを唱え続けなければ、もし、チャーチルがトップにのぼるのが、少しでも遅れていれば。

そして、ヒトラーが痺れをきらせて、西進(ロンドン攻撃)を休止し、一転、東進(ソ連への宣戦)をしなければ。

そして、日本のパールハーバーが成功しなければ・・・。



現代のビジネスにおいて、経営・リーダーシップにおいても、厳しい局面であれば、あるほど、異能・異才と強い気持ち、負けない心が重要なことは、同じなのだと思う。


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2018年5月7日月曜日

【本の世界】多妻の人、もとい、多才の人 「 右岸 」 辻仁成



「右岸」上下 辻仁成 集英社文庫 を読んだ。


多才な人である。

最近では、中山美穂の元ダンナ。
やもめ暮らしで、愛息をフランスで育てている健気なパパ。
と目されている。

バンド歴がながく、詩もかく。
小説の経歴はきらびやかであり、受賞歴も素晴らしい。

その内容に、ときに残念で愕然とすることがある反面、賛辞をおしまない、大傑作もある。
ブレの大きさも才能のひとつか。


「右岸」はある超能力者の生涯のお話。
男性主人公の目線から描いたものが、右。
女性主人公の目線から描いたものが、左。
(この「左岸」は、親友の作家、江國香織がかいている)

これを単なるエスパーのSF、フィクションでしょ、ととらえることは早計だ。
また、著名作家の競作による企画モノ、話題モノでしょ、と片付けるのも然り。

様々な読とみ方、感じ方があろうが、私の目からは、極上の恋愛小説としてとらえられた。
しかも、それは、主人公二人の間柄だけではない。
様々な関係、恋愛、愛、が描かれている。

もちろん、男女のそれもあるが。
親子関係。
親友関係。
師弟関係。
歳のはなれた男同士の絆。
人間と自然の関係。
などなど・・・。

美しいものばかりではなく、大きく変容してゆくものばかりである。

実世界でもそうではないだろうか。

人の営みの中で、多くの人が経験している、よくある関係を、丹念に丁寧にかきあげ紡いでいる。そして、その作家の愚直さが、そのまま主人公のそれに重なる。

作家自身の個人的な変遷も、実は、愚直で不器用であるがゆえのものか。

多才と対岸にある不器用さであるとするなら、それは、とても好ましいものに私には思える。

不器用な男女の真摯な人生をあじわってみてほしい。

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